雲南市吉田町
たたら製鉄で栄えた地域であり、昔ながらの趣ある街並みが、町の中心部に佇みます
その吉田町中心部から、少し山間の方へ車を走らせると、現れるのどかな集落
ここが、今回の舞台となる『宇山地区』です
『うまい!うやま米』というキャッチフレーズでお馴染みの、宇山米の産地『宇山』
この地区で数年前から面白い取り組みが始まりました
小さな集落に、続々と集まる車
次々に来る若者たちの手には、カメラでもスマホでもなく、草刈り機があります
そう、この地区で産声をあげたものこそ、『草刈り応援隊』なのです
その誕生秘話は実に面白いものでした
その日たまたま、地区の人が草刈りをしていると、そこに地区外在住の青年が通りかかりました
青年は、このようなことを言いました
「何か僕たちに手伝えることはありますか?」
「この草刈りが大変だけん、この作業を手伝ってほしい」
「それなら、草刈りをイベントにしてしまったらどうでしょう!」
その青年のアイディアに、地区の方々は大変驚いたそうです
草刈りとは、大変な作業であり、農家の方が最も頭を悩ませているもの
果たして、そんな草刈りがイベントになるのか
ですが、ここからがこの地区のすごいところでした
「ま、やってみっかね」
その精神で、本当にイベントとしてやってしまったのです
もし石橋を叩いて渡っていたら、ここからの奇跡は生まれなかったでしょう
イベントは、回を重ねる毎に参加者が増加
その秘密は内容にありました
草刈りの前には、丁寧な事前指導
草刈りの後には、古民家でみんなで食卓を囲んで、地区のお母さんが作ったごはんを一緒に味わい、
青々とした里山の絶景を眺めたり、地区の方々とのおしゃべりを楽しんだり
草刈りを通して地区の方々と交わることで、自分のもう一つの故郷を見つけたような、そんな一時がそこにあったからです
2回目以降に来るときは、「こんにちは」ではなく「ただいま」という気持ちで、地区に来る方も多いよう
地域内と地域外を「草刈り」というツールを通して繋がる、面白い取り組み
きっと、この取り組みは、それだけでなく『地域の未来』も繋いでいくように思えました
コメント